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| 「長い長いさんぽ」 |
著者:須藤真澄 出版社:エンターブレイン 定価:756円(税込)

漫画家・須藤真澄と16年間一緒に暮らした愛猫「ゆず」との
最後の日々を楽しく、哀しく、時には淡々と綴った作品。
ペットを飼う以上、やがて来る「別れ」は避けられない。
亡くなった「ゆず」を荼毘にふすために出掛ける須藤夫妻。それは夫妻とゆずにとって、最後の「長い長いさんぽ」なのだった
・・・。

私は特に猫が好きと言う訳ではありませんが、この本は泣けます。
泣きました。電車で読んではいけません。
前半、作家のゆずに対する見事な親バカっぷりは笑えるので、その分、
ゆずの最後を看取れなかった作者の嘆き、愛するものを亡くした
深い悲しみに同情の涙を禁じえません。
(ついでに、自分の犬が死んだ時の事も思い出してしまいました。)
喪失感で一杯だった作家の気持ちが悲しみから、ゆずへの感謝に変化して行く様子は絶妙。ラストの、穏やかな冬の居間でお茶を飲む夫婦の絵が印象に残ります。 |
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| 「マイガール」 1巻 |
著者:佐原ミズ 出版社:新潮社 定価:560円(税込)

笠間正宗23歳、独身。高校に入ってまもなく付属の大学に通う4歳年上の彼女と出会い恋をした。留学していく彼女に別れを告げられ5年経った今、突然、僕のところに届いたものは彼女の訃報、投函されなかった僕への手紙、そして5歳になる僕の娘コハル。
最愛の人が僕とさよならした理由 「私の事なら心配しないで…全然大丈夫だから…」 「嘘、怖いよ、本当はね…寂しいよ…正宗君」。
最愛の人を亡くした僕とコハルふたりの生活がはじまります。

ごめんなさい。号泣はできないかもしれません。でもじんわりと効いてきます。
佐原ミズさんの描くごくありふれた情景、普通の人々がとても優しく魅力的。
大好きな人にだって、小さくたって大人だっていくつになっても「言いたいこと、なかなか言えない…」上手く伝えることって難しい。幸せそうに見える人たちだって当たり前だけど色々思い悩んでいる。そんなことを改めて気付かせてくれます。読んだ後に純粋で素直になれる気がします。 |
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| 「ラヴァーズ・キス」 |
著者:吉田秋生 出版社:小学館 定価:630円(税込)

鎌倉の県立高校に通う、何かと悪い噂の絶えない藤井朋章と夜遊びを繰り返す川奈里伽子。二人の運命的な出会いと彼らを取り巻く人々を描いた恋愛オムニバス。それぞれの話が独立していながら他の話を補完しあい、全てを読んだ後には大きな感動が押し寄せてきます。

せつない。登場人物全員が胸に秘めた想いを持っていて、どうしようもないその想いに振り回される。繊細な感情表現が抜群にうまいので、三十過ぎの今でもこの作品を読むと高校生の頃の自分に戻ったような気になります。同作者の最新作「海街diary1蝉時雨のやむ頃」の第一話にはこの作品の中心人物、藤井朋章がゲスト出演しています。この最新作も優しく切ない想いに溢れた連作短編集で、お薦めです。 |
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| 「麒麟館グラフィティー」 1〜8巻 |
著者:吉村明美 出版社:小学館 定価:590円〜610円(税込)

祖母の遺産のアパート・麒麟館の管理を引き継ぐ事になった森川妙。その初日、彼女は道に倒れていた菊子という女性に出会います。実は、菊子は妙の大学時代の憧れの先輩、宇佐美秀次の妻でした。不幸な生い立ちの菊子を秀次は奴隷のように扱っていたため、菊子は辛くて逃げてきたことが判明。怒った妙は自分のアパートに菊子を住まわせ2人は同居を始めるのですが・・・。札幌を舞台にした愛と友情の感動長編です。

物語はお昼の連続ドラマのように、次から次へと主人公たちに事件が降りかかるという展開で進みます。そして事件を乗り越えるのはいつも純粋な愛の力。メロドラマと言ってしまえば簡単ですが、札幌の美しい自然と卓越した画力で描かれた作品世界は「北の国から」にも通じるところがあり、今でも読み返すたびに最初から最後まで号泣してしまいます。ぜひドラマ化してほしい作品です。 |
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| 「大阪ハムレット」 1、2巻 |
著者:森下裕美 出版社:双葉社 定価:700円(税込)

『少年アシベ』の森下裕美の新境地。女の子になりたい普通の小学生「ヒロ君」、不妊治療を続けながら夫を含めた周囲との関係に孤独感を感じる「アイコ」。主人公たちの生きる大阪を舞台にそれぞれ何らかの事情を抱えながらも前向きに生きようとする普通の人たちの普通の生活の中に喜怒哀楽がぎっしりつまった短編集。第11回手塚治虫文化賞短編賞、第10回文化庁メディア芸術祭優秀賞W受賞。

1巻の『名前』という話の中で、泣いて謝る息子を殴り「自分の弱さ、謝って済ますな!」と怒るお母ちゃんの姿にしびれます。全編に渡って「打算」や「たくらみ」の全くない「けがれない優しさ」がコテコテの関西弁で描かれることで、より一層パワーを生んでいます。日常の話だけにコミックだけが持つ力や可能性を再認識させられる作品です。
通勤電車で読むな。突然襲う感動に途中で降りる事になるぞ。 |
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| 「海街diary 1 蝉時雨のやむ頃」 |
著者:吉田秋生 出版社:小学館 定価:530円(税込)

海の見える街、古都・鎌倉を舞台に描かれた、家族の喪失と再生のものがたり。『Banana Fish』の吉田秋生が新たに挑む感動シリーズ!
男の部屋で朝を迎えた三姉妹の次女・佳乃に父の訃報が届き、母との離婚で長い間会っていない父の死に、なんの感慨もわかない佳乃は…。鎌倉を舞台に家族の「絆」を描いた限りなく切なく、限りなく優しい作品。

亡くなった父の娘で中学生の「すず」が香田姉妹に融け込んでゆき、鎌倉の風景になじんでいく姿が最高です。表題作の「蝉時雨のやむ頃」が素晴しく、胸がいっぱいになります。長女の幸姉の「この町であなたが一番好きな場所ってどこ?」の台詞から、物語が一気に切なく、深みを増してゆく。「すず」が思いっきり泣いたあとの笑顔が素敵です! 雨は全ての人の心に降り、そしてきれいに流してくれるという終盤の展開に、涙ぽろぽろです。 |
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