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働く女性に元気をプラス! 連載エッセイ Back Number
葉石かおり
幸福。それは人によって解釈や定義が大きく異なります。日常の中で「小さな幸福」をみつけること。この力をつけるだけで大きな幸福をつかむことができます。このエッセイを通し、皆さんの生活が今よりもっとステキになるよう、そのお手伝いができれば幸いです。
<プロフィール>
1966年東京生まれ。エッセイスト、利酒師、焼酎アドバイザー。TBSラジオレポーター、女性週刊誌の記者を経てエッセイストに。結婚、恋愛、出産、仕事など女性の関心が高いテーマを中心に執筆する。主な著作に「カッコイイ女は『おひとりさま』上手」(PHP研究所)、「30代からの結婚がハッピーになれる!」(三笠書房)など。
「ひとり」を楽しむ情報サイト【eineアイン】http://eine.bz/ の編集長を務める。
*… vol.1「幸せのものさし」 *…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*
「幸せってなんだろう?」
誰もが一度はそんなことを考えたことがあるのではないでしょうか。
幸福の象徴というと結婚、子ども、裕福な暮らしなどが挙げられますが、
それらすべてを得たから幸せかといったら、決してそうではないと私は思
います。いい仕事をしている友人をうらやんでみても、友人と同じ境遇に
なれたところで幸せになれる保証はありません。だって“幸せのものさし”
の長さは人によって違うのですから。

このことに気づくまでの私は言わばコンプレックスの塊で、同級生が結婚
したり、高級マンションを買ったりするとひどく焦ったものでした。「ど
うして私はダメなんだろう…」と落ち込み、友人の幸福を素直に喜べなか
ったのです。でも私は私であって、それ以上にもそれ以下にもなれない。
そう悟った時、心についていた錘がすっと外れ、ラクになりました。この
頃から生活が一気に好転した気がします。

毎日を幸せな気分にするのは難しいことではありません。
「人と比べて劣等感を抱いたりせず、自分にスポットを当ててあげる」
ホントにただこれだけ。ね、カンタンでしょ? 

主軸を他人から自分に移すと、まるで魔法の眼鏡をかけたかのように、今
まで見えなかった幸福が見えるようになります。たとえばネイルがとびき
り上手に塗れたとか、紅茶がうまく淹れられたとか…、そんな生活の中に
ある小さな幸せを感じられる能力が高まり、日々豊かな気持ちでいられま
す。幸せって何も特別なことじゃないんです。そうした小さな幸せを日々
重ねていくと、やがて大きな幸せになります。おもしろいもので、ハッピ
ーな顔をしてる人には幸せのほうから寄ってきます。笑顔は“幸福磁石”
なんですよね。

自分の人生の主役は自分。思い切りスポットを当ててあげてください。自
分を幸せにできるのは、他の誰でもなく自分自身なのです。
*… vol.2「“いちばんスキな自分”でいるために」 *…*…*…*…*…*…*…*
お肌の露出が増えるこの季節、私の手や足にはキャンディー色の小さな花が
咲きます。こんな言い方をすると「?」と思いますよね。小さな花とはネイ
ルのこと。1センチちょっとしかないネイルを小さなキャンバスに見立て、
そこに花やラインストーンなどのアートをほどこす…。これは女性ならでは
のオシャレであり、贅沢ですよね。自分の体は年中つきあうものですが、中
でも手は始終目にするパーツ。顔は鏡を見ないと見えないけれど、手元は仕
事の時も食事の時も、嫌でも目に入ります。そんなこともあり、ネイルのお
手入れはマメにするようになりました。

ネイルは無論、毎日目にするもの、身につけるものに投資をするようになる
と自分の意識がぐっと高まります。例えば洋服。あまり気に入らなくても、
「バーゲンだから、まあいいか」と買ってしまうことがありますが、これは
大きな間違い。納得せずに買ったものは大切にしないし、その後に高価な靴
を買ってコーディネートしてもちぐはぐで、どうにもバランスが取れません。
それ以上にマイナスなのは、自信まで失くしてしまうことです。「今日の自
分はイケてない」と思うとそればかりが気になって、本来の力が発揮できず、
大きな仕事を逃してしまうことが多々あります。これは心理学的にも実証さ
れていることで、特に女性の場合はその傾向が強いのだとか。いいものを身
につけていれば気分もいいし、不思議なことにそれに見合った自分になろう
と努力するようにもなります。「いちばんスキな自分」でいるためにも、自
己投資を惜しんじゃいけないんです。

この原稿を打っている私のネイルもそろそろ塗り替えの時期。サロンの予約
日まであと2日ほどあるけど、少しはげてしまった先端部分がさっきから気
になって仕方ありません。不器用な私には花まで咲かせられないけど、せめ
てお気に入りのカラーを塗らなくちゃ。ネイルひとつでハッピーになれるの
なら、手間も時間も惜しくはないですものね。
*… vol.3「自分の居場所」…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*
リビングの端っこで、いつも青々とした緑を楽しませてくれる観葉植物がぐっ
たりとしていました。そういえばこのところ新しい枝も出ないし、葉のツヤも
イマイチ。病気というワケでもなさそうだし…、と首をかしげつつ植木鉢の下
をのぞくと、何やら細くて白っぽいものがたくさん見えます。恐る恐るその一
本を引き出してみると、それは根っこだったのです。慌てて取り出してみると、
植木鉢いっぱいに根が張り巡らされ、その様子はまるでプリン。
そう、植物は知らぬ間に、これ以上伸びるところはないというほど根が伸びて
しまったのです。ひとまわり大きな植木鉢に植え替えると、次々と新しい枝を
出し、数年ぶりに花まで見せてくれました。

植物同様、人にはそれぞれ合う器があります。その器に合わせ、根を張ってい
くワケですが、キャリアを重ねるうちに、窮屈になってしまうこともしばしば。
「何となく居心地悪いな」
「キャリアアップしたいな」
今の職場にいてそんなことを思うようになったら、それはあなたが大きくなっ
た証拠。もっと根を伸ばして大輪の花を咲かせたいと願うのなら、思い切って
職場を変えてみて欲しいのです。変えたとたん、今まで短所とされていたこと
が長所と見られたり、発揮できなかった才能が開花したりすることがあります。
実際、私もそうでラジオレポーター時代はのろまとされていたことが記者にな
ったとたん丁寧と評価されたりしました。

自分の居場所はひとつではありません。ダメだと思ったら自分が合うと思う居
場所を探してみる。それもまたいいキャリア、人生を構築するツールなのです。
あなたの植木鉢は伸びきった根っこでギュウギュウになっていませんか? 
今よりもっとステキな花を咲かせるためにも、“キャリアチェンジ”を考えて
みてください。勇気を持って行動した後は、きっとすばらしい未来が待ってい
るはずです。
*… vol.4「太陽と仲直り」…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*
幼い頃はあれほど太陽と仲良しだったのに、大人になると途端に太陽と無縁の
生活になります。日焼けからくるシミが怖くて、木陰をみつけては避難したり、
海辺に行くのを極力控えてみたり。もともと夏が苦手な私もそうで、夏になる
と太陽を避け、夜だけ行動する吸血鬼(笑)のような生活をしていました。

そんな生活をがらりと変えてくれたのがひょんなことから始めたシュノーケリ
ングでした。足先まで見える透き通った海、そこを我が物顔で泳ぐネオン色の
魚たちに出会った時、太陽と仲直りしてみようと思ったのです。いざ太陽と手
を取り合うと、今まで見えなかったものがクリアに見えるようになりました。
一つは風。海の上をつたって来る風は潮の香りを運び、とげとげしていた心を
丸くしてくれます。エアコンと切っても切れない生活をしていた私でしたが、
自然の風の心地よさに目覚め、今は極力エアコンをつけないようにしています。
そのせいかだるさも消え、冷え性からも解放されました。日中の都会ではちょ
っと辛いけど、陽が沈みかけた頃、窓を開けはなってみませんか? 草や花の
香りがどこからとも漂い、都会にもまだ自然が残っていることがわかります。
もう一つは色。夏は色とりどりの草花がお目見えします。鮮やかなひまわり、
涼しい木陰を成す青々とした桜の木々…、これは太陽の下だからこそ見える色。
入道雲をたたえた青と白のコントラストが美しい空もまた、夏ならではの色合
いですよね。

このように自然に触れ、人が本来持つ五感を高めると、視野が広がり、何に対
してもポジティブになれます。「自分は大きな宇宙の中の小さな生命体」だと
思うと、ちっぽけなことでくよくよしていた自分がバカらしくなるからでしょ
う。キモチが大きくなるせいか、人間関係もスムーズになって、仕事も恋もう
まく回り始めます。こちらから手を伸ばしさえすれば、太陽は悪さをしません。
そう思うとこの暑さも許せるような気がしますよね。
*… vol.5「“ひとり力”を身につける」…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*
山間にある小さな日本酒の蔵元を訪ねた時のこと。お酒好きの友人に写真付き
のメールを出そうと携帯を取り出してみたところ、圏外になっていました。そ
ういえば数時間前から仕事の電話も来なくなったし、やけに静かだなと思って
いたのですが、圏外だったとはつゆ知らず。その日は蔵元の近辺に宿を取って
いたのですが、これまた圏外。念のためにと持ってきたパソコンもつなげるこ
とができず、無用の長物になってしまいました。最初は不便に思っていたので
すが、もうどうにもならないと割り切ると、これがかえって心地いいのです。
急用があれば公衆電話で用が足りるとわかったとたん、これまでにないリラッ
クス感を得ることができました。

携帯電話やパソコンは便利なツールです。これらが普及してからというもの、
仕事の能率も上がるし、仕事も一気に増えました。でも便利と引き換えに、私
たちは「ひとりの時間」を失ってしまったように思います。携帯電話やパソコ
ンがなかった頃、夜は読書をしたり、音楽を聴いたり、また物思いにふけるこ
ともありました。でも今は電源を入れ、ひとたびボタンを押せば誰かとつなが
ってしまいます。寂しさを誰かとつながることでごまかし、極力ひとりの時間
を持たない。そんなことをしているうち、多くの人が「ひとり下手」になり、
依存心が高くなってしまいました。

人はもともと「個」の生命体です。生まれる時、そして死ぬ時もひとり。誰か
を共にすることはできません。今依存している誰かが急にいなくなってしまっ
たら? そう、倒れてしまい、前に進むことができないのです。だからこそ
「ひとり力」を身につけ、自分の心の足で立つことを覚えて欲しいのです。そ
れにはまず、ひとりの時間を上手にすごす練習をしなくちゃいけませんよね。
たまには携帯やパソコンの電源をオフにしてみませんか? 小さな機械たちに
縛られていた時間を、ひとりの時間にあててみてください。これを繰り返すう
ち、自立心のある真の大人の女性になれるはずです。
*… vol.6「人生の季節」…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*
春夏秋冬…。日本に四季があるように、人の人生にも季節があります。
やりたいことがみつかって、わくわくするのが春、思いが次々と芽を出し、
若葉が覆い繁るように事が運ぶのが夏、それまでやってきたことが形になるの
が秋、実を収穫し終わり、春に備えて充電するのが冬…。 
物事がうまく運ばないと、つい腐ってしまうけど、こう考えると「なあんだ」
と思いませんか? 人生は山あり谷あり。いい時もあれば悪い時だってあるん
です。

私も週刊誌の記者をしていた頃は、やりたいことが一向にできず、毎日いらい
らしていました。同年代の作家が賞をとったりすると、もう悔しくて、「どう
して私だけ」と腐っていたものです。そう、万年冬女(笑)だったんですね。
週刊誌の記者を辞め、お金が底をつきかけた時、ふと思ったのです。「仕事が
ないこの時期を使って、思い切り勉強してみよう」と。そう思ったとたん、つ
きものが落ちたようにふっきれて、気分が一気に明るくなりました。そして以
前から構想していたエッセイ執筆のため、図書館に連日通い、せっせと文献を
コピーし、エッセイの大半を書き上げました。何軒かの出版社に持ち込み、最
終的に形になったのが記念すべき初エッセイ『女は年下男が好き』(講談社)
です。この本の刊行をきっかけに仕事が増え、かねてからの夢だったエッセイ
ストになれたというワケです。
思うに仕事がうまくいかなかった頃は真冬で、「この時期に勉強しなさい」と
いう神様からのお告げだったのかもしれません。秋を迎えた今はようやく小さ
な実がつきはじめ、熟した実をいくつか収穫することもできました。

もし今、あなたの人生の季節が冬だと思うのなら、目前にある春のために知識
を蓄えておきましょう。どんなに冷たい風が吹いても、根っこさえ枯れさえし
なければ、いつか必ず大きな花を咲かせることができます。
あなたならきっと大丈夫。
自分の力を信じて、前だけ向いて歩んでください。
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