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  カウンセラー'Sコラム
提供・監修:ピースマインド
アメリカでのカウンセリング体験を通して
岡部淳子カウンセラー

みなさんは、カウンセリングを受けることに対して抵抗感を感じたりしていませんか?「心の病気にかかるなんてどうかしてる」「私はおかしくなってしまったんだろうか」「このことは友達にも会社にも知られたくない、家族にだって言えない」などと思い悩み、必要とする状況になってから実際に受けるまでの間にかなり時間が経ってしまったりしませんか? このようなカウンセリングの敷居を高く思う意識は、最近ではかなり改善されてきているかとは思いますが、それでもまだまだみなさんの心の中に根付いていることと思います。

私はアメリカの大学構内のカウンセリングサービスセンターにて、カウンセラーとして働いた経験があります。その時感じたアメリカ人のカウンセリングに対する意識と日本人のそれとの違いに、今回は触れてみたいと思います。

アメリカの大学でのカウンセリングセンター
大学構内のカウンセリングといっても、日本の大学とは違いいろいろな年齢層が通うアメリカの大学では、カウンセリングを利用する人は老若男女さまざまでした。留学生も多い大学でしたので、世界各国からの学生がいたにも関わらず、このカウンセリングサービスセンターのクライアントは、ほとんどがアメリカ人でした。留学生にとってはもちろん言葉の壁といったものも大きいかとは思いますが、それを差し引いたとしても圧倒的に多いアメリカ人のクライアントと話をするなかで、ドラッグやアルコールなどの問題が蔓延し家族環境や社会情勢なども複雑なアメリカならではのこと、やはりアメリカ人のほうがより多くカウンセリングを必要とするのだろう、と最初は思っていたのです。けれどそのうちすぐに、そういったことだけが理由でアメリカ人のカウンセリング利用率が高いのではないということに気付くこととなりました。
カウンセリングを受けるということ

まず最初に、アメリカ人は、心の中に自分では対処できないくらいの悩みを抱えることは誰にでもある普通のことと認識し、カウンセリングを受けること、つまり“カウンセリングを受けなければならない状況に自分があること”を、恥ずかしいと思ったり人生の中で人に知られてはいけない秘密とまで思うようなことはそれほどないようです。だからといって人に悩みがあることを言いふらすといったわけではないでしょうし、もちろんカウンセラーにはクライアントへの守秘義務といったものも存在しますが、カウンセリングを受けるということは、とても日常的であり、特別なことではないと理解しているようでした。

一度こういうことがありました。私が大学のある町のスーパーマーケットで買物をしている時のこと、通路の向こうからその時の私のクライアントの女性が友人と思われる男性と一緒に歩いてきました。私はもちろん彼女とは面識がないように振舞わなければならないので、無視した状態で通り過ぎようとした時、彼女の方から私に挨拶をしてきて、隣りの彼に向かって「私のカウンセラーのじゅんこさんよ、毎週通っているの」と紹介したのです。私はうれしい気持ち半分、戸惑いを感じたのも確かです。あとで同僚のカウンセラーにその話をしたところ、かかりつけの“マイ・カウンセラー”を持つということはうれしいことであり自慢さえできることなんだという返事で、とても驚きました。

またある時、私がキャンパス内のベンチに座っていて、側にいた女子学生の立ち話が聞くともなしに耳に入ってきたことがあります。片方の学生が「彼にこの前ふられて、最近眠れなくなってる」ともらすと、その友達の返答は「大丈夫? 話聞いてあげるよ。でも私じゃ駄目ならカウンセラーに会うといいわ」というものでした。これらのエピソードから感じられるように、アメリカ人にとってはとても身近にカウンセリングというものが存在しているようです。

自分の心と向き合うということ

そしてもうひとつは、カウンセリングの勉強と実際のカウンセリング業務を通して感じたことですが、アメリカ人は心の中で起きていることを知ろうとする傾向が強いように思います。自分の心の中で起こる悲しみ・怒り・辛さ・苦しさなどを、持ってはいけない感情・起こってはいけない現象などと抑え込むのではなく、全てはどれも自分の中でおこる素直な感情であり、自分のものとして受け入れ認め理解しようとしているように思われました。決して自分を“おかしくなってしまった”“どうかしてしまった”と、その状況から目をそらしたり、問題にフタをしてないものと考えたりするのでなく、しっかり見据えて自分の感情や現実の問題と向き合おうとする姿勢が強いようなのです。そして、カウンセリングを利用するということで、そういった感情そのものやその感情のもととなる自分が陥ってしまっている現状への対処の仕方を学ぼうとする考えがあるようです。

私たちは日本人ですし、日本の文化や価値観にも素晴らしいものがありそのなかで生きているわけですから、アメリカ人のようにならなければいけないということではもちろんありません。けれど、“心の中に悩みや苦しみが生まれるのは誰にも起きるごく普通のことで、それに上手に対処し自分の人生を有意義に生きるためには、ひとりで抱えこまずにカウンセリングを利用する”といった姿勢は、彼らから盗み学ぶことはできるかもしれないと思います。少しでも多くのみなさんの心の幸せのために、カウンセリングが役に立つことを願っています。

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