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HEART
  カウンセラー'Sコラム
提供・監修:ピースマインド
子育てについて思うこと<その2>
臨床心理士 岡野美年子
(相談窓口 :育児に関する親御さんの心配や悩み等)
子どもは手がかかる

哺乳類の赤ちゃんの中で一番無力で生まれてくるのがヒトの赤ちゃんです。大抵の動物の赤ちゃんは生れ落ちるとじきに自力で立ち上がって、お母さんのお乳を探し当てます。それなのにヒトの赤ちゃんは、お母さんが抱き上げて乳首を口元に持っていってあげなければ自力ではおっぱいも吸えません。

このように生まれたての赤ちゃんは一人では生き続けることができないのですから、何から何までお母さんがお世話をしなければならないのは当たり前です。その上、ヒトの子どもは大きくなるのに時間がかかります。歩けるようになるのに1年かかりますし、言葉で意志が通じるようになるのにも2年以上かかります。

だから育児は手がかかるもの、手も心もたくさんかけなければヒトの子は人間にはならないのだと最初から承知していれば、いらいらしなくてすむのかもしれません。

赤ちゃんから学ぶ

今、子育て中のお母さん方が育児をとても重荷に思ったり、子どもを可愛いいと思えなくなったりしています。理由はたくさんあるでしょう。世の中のあり方が子育てをより大変にしている事も事実です。

私は一つの要因として、今の若い方々が少子化の中で育つために、親になって初めて赤ちゃんに出会うという事実があると思っています。昔は自分の弟妹だけでなく、周囲に小さい子がけっこういましたから、小さいときから赤ちゃんに接する機会がありました。それが今は殆どありません。私は、子どもというものの実態を知らないで大きくなり、頭で思い描いた赤ちゃんをイメージして親になってみたら、余りにも現実は違っていたと訴えられる若いお母さん方にたくさん出会っています。

今、カナダでは赤ちゃんから学ぶ「共感教育」というのがあります。元のことばは「Roots of Empathy」です。学校という教育の場に、生まれたばかりの赤ちゃんとお母さんに定期的に来てもらって、子どもたちは赤ちゃんの育つ姿を見せてもらい、時にはミルクを飲ませたりオムツを替えさせてもらったりします。そうやって1年間の赤ちゃんの育ちにお付き合いしていく間で、子どもたちは実にたくさんのことを赤ちゃんから学びます。

その中でも一番意味のあることは、しゃべる事のできない赤ちゃんがことば以外でさまざまな表現をしている事に気づき、ことばに頼らないで赤ちゃんの気持ちを理解することができるようになるという点です。ここに人間理解の原点があるようです。
この教育は日本でも多くの人のそれこそ共感を得て、今少しずつ広がろうとしています。若い方々が、まだ親にならないうちに赤ちゃんからたくさん学んでほしいと思います。

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